2013年5月2日木曜日

2013年4月に読んだ本

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:7988ページ
ナイス数:106ナイス

政界汚染―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)政界汚染―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)感想
濱作品の特徴は、警察組織を熟知した筆者が、その能力が理想的に発揮されたらこんなに凄い。という前提で書いている点だと思う。実際の事件は小説のように広範で複雑な構造なのだろうが、捜査する側は一枚岩ではなく、現場に近いポジションに青山や黒田のようなスーパーマン的存在がいないと対応できないのであろう。正直”誰の手柄にする”なんて言っている時点で組織としてダメだし、使命感より自分の出世のために働いている警察官僚の本音も透けている。秀逸なエンターテイメントだが、現実への不安もかき立てるシリーズだ。
読了日:4月30日 著者:濱 嘉之
スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)感想
人口生命体に対するアシモフ3原則の解釈は圧巻。倫理・宗教など難解な要素を使った人口妖精の定義と、ラノベ的な学園コメディとミックスさせることで、エンディングまで読者を上手くリードしてくれています。1巻目では、”発達した科学が産み出すのは、結局究極のダッチワイフ?”という印象もありましたが、3巻目で優れた倫理論にまで行き着いてくれました。時系列順にこの巻から読んだほうが良いという意見もありますが、1巻目から読んだほうが作者の主張に近づけると思います。それに揚羽のネコ耳イラストというご褒美もありますしね。
読了日:4月30日 著者:籘真 千歳
世界で勝たなければ意味がない―日本ラグビー再燃のシナリオ (NHK出版新書 392)世界で勝たなければ意味がない―日本ラグビー再燃のシナリオ (NHK出版新書 392)感想
村社会的な日本ラグビー界から一歩外に踏み出した岩渕氏が、代表チームのGMをやるのは良い人選。世界でトップ10に入るチームを作るには、それにふさわしい協会組織を作らなければ。という主張に賛同します。エディー・ジョーンズという世界でもトップクラスの監督を連れてきた点からも、2019年に日本で開催されるワールドカップに向けた過程としては評価できる。あとは協会の資金調達能力と情報発信力が問われるところか。
読了日:4月26日 著者:岩渕 健輔
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
装丁がビブリア古書堂を想起させるのは、決して偶然じゃないですよね。比較されるのを覚悟の上でやったなら、せめて内容は上回るぐらいでないと。これじゃ宝島社は便乗商法と批判されても仕方ない。いろいろ大人の事情を想像してしまうぐらい劣化版でした。たいした商品知識もなく、キャラの名前をダジャレにしたぐらいで、コーヒー小説を名乗るのはいかがなものか。主人公はヘタレのええカッコしで、女子に好意を寄せられる理由が分からない。七尾氏の時も感じたが、こんな作品しか残らないなんて、『このミス大賞』終わってるな。
読了日:4月23日 著者:岡崎 琢磨
星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)感想
久々の続編が読めただけでOK。つまらなくても必ず読むから、ぜひ早く続編を出してください。この巻では、敗戦や自らの死さえも合理的に潔く受け入れるアーブが、だからこそ内包している脆さを描いていたのではないか。第2部で文明が継続するための非合理性を、このスマートな世界観からどう描いてくるのか。でも一番楽しみなのは、やっぱりスポール提督の活躍(?)かな。
読了日:4月22日 著者:森岡 浩之
氷風のクルッカ―雪の妖精と白い死神氷風のクルッカ―雪の妖精と白い死神感想
元自衛官の柳内たくみが戦記物とくれば、面白くないわけがない。美少女主人公は大人の事情として、専門技術のおける師弟関係や、ストイックな娘と享楽的な母親の対決など、エンタメ要素をうまく入れ込んでいます。ファンタジー世界や学園モノから離れた、史実を設定にとりこんだラノベの可能性を感じさせてくれました。
読了日:4月22日 著者:柳内 たくみ
戦力外捜査官 姫デカ・海月千波戦力外捜査官 姫デカ・海月千波感想
ライトでユーモラスな表紙や文体に比べ、冤罪や硬直した警察組織の問題など、扱う問題はシリアスなので、両者のアンマッチが残念。せめて終盤はおちゃらけ無しで締めて欲しかった。冤罪防止のため、捜査にセカンドオピニオンを取り入れようとする発想は画期的だと思うけど、これは取材の成果なのか作者の思いつきなのか?。警察組織だと、絶対に序列だとか派閥が捜査に影響するだろうし・・・
読了日:4月22日 著者:似鳥 鶏
輝天炎上輝天炎上感想
”桜宮サーガを補足する裏ストーリー”といったら大げさかな(笑)。海堂作品は文章自体が上手い。と再認識。前半は天馬視点でいままでのおさらい。後半は小百合視点で裏勢力の動向を語り、終盤で田口や高階など表側のストーリーである「ケルベロスの肖像」とシンクロします。ケルベロスに腑に落ちない箇所があったのは、最初から二冊構想だったからですね。それでも伏線はまだまだ沢山残っているし、こうなったらミステリー界の「ジョジョ」を目指すというのはいかがでしょうか。
読了日:4月19日 著者:海堂 尊
もりのへなそうる (福音館創作童話シリーズ)もりのへなそうる (福音館創作童話シリーズ)感想
40年前に読みました。うちの兄弟の”Soul~魂!!”的な作品です。
読了日:4月19日 著者:わたなべ しげお
犬とハサミは使いよう6 (ファミ通文庫)犬とハサミは使いよう6 (ファミ通文庫)感想
”コンバット・ビブリオマニア”はちょっとマイナーだけど、『R.O.D』を元祖にラノベ界で着実に引き継がれてきている系譜。この作者達はまだ洗練されていないけど、とても魅力的なポテンシャルを感じさせてくれています。この巻では子供の頃に好きだった絵本の思い出を呼び起こしてくれて、心にジンとくるものがありました。ツンデレ台詞に中二病なネーミングの武器、センスのあるボケ・ツッコミも楽しいし、アニメ化でさらに人気が上がるんじゃないかな。※一部の愛犬家は除く・・かも。
読了日:4月19日 著者:更伊俊介
スワロウテイル/幼形成熟の終わり (ハヤカワ文庫JA)スワロウテイル/幼形成熟の終わり (ハヤカワ文庫JA)感想
人工生命体や人工知能を通して、”人間性とは何か?”を問いかけるSF。「清純や貞淑、献身などの美徳は自分が愛されるための手段であり、愛する人とそれ以外を選ばなければならない場面で、酷く醜く汚らわしく表出する。水気質は献身的なんかじゃない。自分が愛されるためには他人も世界も自分すらもどうなっても構わないと思うだけ」という真白のセリフにはかつてない衝撃を受けた。これほど深く愛の二面性を捉えた言葉は、今まで読んだことがないと思う。
読了日:4月19日 著者:籘真 千歳
かまいたちの娘は毒舌がキレキレです (スマッシュ文庫)かまいたちの娘は毒舌がキレキレです (スマッシュ文庫)感想
「実験的小説」と作者が自ら説明しているけど、一人称をぼかしてミスリーディングを誘うなんて手垢のついた手法だと思うのだが。主人公が毒舌でラノベ批判をするのも冒頭の一瞬だけで、全体的には異能B級バイオレンスの印象。殺し屋が女を連れて組織から逃げるなんて、どうにもオヤジ臭いプロットだなあ。「表紙サギ」と言われても仕方ない。
読了日:4月16日 著者:木戸 実験
僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)感想
本編の前日譚の短編集。父さん(?)のプロポーズが素敵。「いい加減好きってゆえ!!」「ハ、ハイ!好きです。」それにしても避妊はちゃんとしましょうね。
読了日:4月14日 著者:平坂 読
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者5 (講談社ラノベ文庫)アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者5 (講談社ラノベ文庫)感想
『軽小説家』を自称する榊さんのプロ業が発揮された秀作。萌え・パロディ・武器ネタ・変形ロボ(?)・暗躍する国家組織と危ない隣国など、いろんな要素を盛り込みつつ、バランスよくまとめてくれています。レーベル別に作風を書き分けているところもさすが。アニメ化が決まるのも時間の問題?(笑)
読了日:4月11日 著者:榊 一郎
スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)感想
優れたSFは、非日常設定を用いて人間の根源を描くものだ。ということが良くわかる作品。科学技術が高度に発達すると、人類は自らの摸倣を作り出し、それに依存して衰退してゆく。という指摘にグサリと来た。次作も読まなくちゃ。
読了日:4月10日 著者:籘真 千歳
茉建寺エリノアの非主流科学研究室 (ファミ通文庫)茉建寺エリノアの非主流科学研究室 (ファミ通文庫)感想
うーん、天才科学者はボッチ系で世間知らずという設定は、いかにもステレオタイプ過ぎる気がする。マッド・サイエンティストなら、ちょっとは世間を欺けよ。みたいな。
読了日:4月10日 著者:榊一郎
斉藤アリスは有害です。 ~世界の行方を握る少女~ (電撃文庫)斉藤アリスは有害です。 ~世界の行方を握る少女~ (電撃文庫)感想
タイトルのネーミングセンスは良いんですけどねえ。途中で設定が変わっちゃっているような気が・・・。初期は近くのモノに無差別に不幸をまき散らしていたけど、中盤から敵認定したモノに向けて不幸の狙い撃ちをしてましたよね。もしかしてスキルアップ?
読了日:4月10日 著者:中維
楽聖少女2 (電撃文庫)楽聖少女2 (電撃文庫)感想
きちんとした歴史や音楽の知識を題材に、正統派の芸術論をラノベ風に展開している優れたエンタメ。ひねってあるけど、知識のある人なら「そうきたか」とニヤっとする箇所がたくさんあります。『与えられた美しさでは満たされないから、他の誰も満たしてくれないから、僕らはペンをとり、白紙を目の前に広げ、自分の手で書き出すのだ』という箇所に、表現者の意志の力を感じました。
読了日:4月8日 著者:杉井 光
ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1感想
サイバーパンクお馬鹿小説!! これ本当にアメリカ人が書いてるの? ぜったい日本のこと良く知っている奴が、わざとふざけて書いてるよね(訳者チームが上手いのか?)言葉のセンスが最高にクールで、ツッコミが止まりません。ストーリーはどうでもよいけど・・・
読了日:4月6日 著者:ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ
完全黙秘―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)完全黙秘―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)感想
警察組織の活躍を内部視点でちょっと理想化して描くのが濱作品の特徴。このシリーズはノンキャリア組の活躍がテーマなのかな。金・力・女というマッチョな欲望が素直に追求された相関図も、この作者ならではの構図。小説としては?とは思うが、レポートのように事件の構図が明確に描かれていて、読んでいて惹き込まれます。巨悪をやっつけてくれるカタルシスも良い。次作も楽しみです。
読了日:4月6日 著者:濱 嘉之
中途採用捜査官 お宝を鑑識にまわせ! (徳間文庫)中途採用捜査官 お宝を鑑識にまわせ! (徳間文庫)感想
このシリーズはIT、経済、美術など身近でない分野の知的犯罪を取り上げている点が特徴で、知的好奇心をワクワクさせてくれます。濱嘉之あたりと通じるところもありますが、佐々木さんのほうがユーモアあふれる文章かな。専門知識を持つ捜査官がいないため、日本が美術品詐欺のターゲットにされるというのは本当なのでしょうね。次作ではどんなジャンルを取り上げてくれるのか、とても楽しみです。
読了日:4月6日 著者:佐々木敏
下ネタという概念が存在しない退屈な世界 2 (ガガガ文庫)下ネタという概念が存在しない退屈な世界 2 (ガガガ文庫)感想
下ネタ版『図書館戦争』?!「私は下ネタになりたい。歪んでいて、悪とされる、けどそれゆえに存在価値があり人々から求められる下ネタそのものに」「私たち下ネタテロ組織は、あくまで間違った存在でなければならないわ。自分たちを正しいと思い込んだまま突き進んだんじゃあ、下ネタという概念の存在しない退屈な世界こそが”理想”の、正しい世界だと盲信して作り上げてきた人たちと同じになってしまうのも。」華城先輩の演説に、不覚にも心を打たれてしまった・・・
読了日:4月6日 著者:赤城 大空

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